小児の症状について

子供の包茎

子ども子供のおちんちんは親にとってはかなり気になるところです。母親はもちろんのこと、父親にとっても小さい頃の自分のおちんちんがどうだったか、誰も覚えてはいません。でもいつの間におちんちんの皮が、自然にむけるようになっている事に気づきます。普通はそんなものです。でも中にはずっと包茎のまま成人になる人もいます。それは困ったものなのですが、ではいったいどのような場合に治療が必要になるか、少し考えてみましょう。

包茎とは

亀頭が包皮に覆われたままで、手で包皮を下げようとしても、亀頭が露出してこない状態を言います。これは包皮の一部(包皮輪)が狭くなっているためです。全く亀頭が見えない場合や少しは見えるだけのこともあります。
また、多くの場合包皮が亀頭に癒着(くっついていてはがれない状態)になっています

治療が必要な包茎

以前は子供の完全包茎は手術を行ったり、強制的にむいたりしていましたが、
最近では「そのまま放置していても問題は生じないのでは?」という考えが増えてまいりました。
その根拠としては、

  1. 包茎は成長に従い自然治癒する事が多いこと
  2. 以前問題視されていた包茎の合併症(尿路感染、尿路障害)が少ないこと

などが挙げられます。
ではどういう場合は治療が必要か言いますと、

  1. お疾呼するときに包皮の先っぽがずっと膨らんだままの状態
    (包茎に伴う排尿障害が疑われます)
  2. むこうとしても全く外尿道口が見えない場合
  3. 亀頭包皮炎を繰り返す場合

などです。

治療方法

ステロイド軟膏

1日2回ステロイド軟膏を包皮の狭い部分に塗布します。4週間ほどで効果が現れてきます。
90%の有効率があり手術を行う前にまず行う価値があります。塗る部分が少ないので副作用も特にないようです。ただしそのままにしておくと再発しますので、入浴時には包皮を剥いて亀頭を露出するようにして下さい。

包皮輪の拡張

包皮の狭い所(包皮輪)を器械で少し広げてやり、そのあとは家族で入浴時に包皮を翻転して洗ってやる。これをずっと続ける。

手術

上記の方法で改善しない場合は手術が必要になります。

亀頭包皮炎

小児に多い病気で、特に包茎の子に多く生じます。雑菌、主にブドウ球菌による感染です。

症状

包皮に炎症を生じるため、おちんちんの先の方が赤く腫れて痛がり、膿が出ることもあります。尿道の炎症はないので排尿時に痛がることは余りありませんが、さわるとひどく痛がります。

診断

診察しておちんちんが腫れて、膿が出ているのが確認されれば診断は容易です。

治療方法・予後

抗生剤の内服、または局所療法として抗生剤軟膏の塗布が有効です。2-3日で治癒します。
包茎があって亀頭包皮炎を繰り返す場合は、積極的な包茎の治療が必要です。

夜尿症

子ども子供のおねしょは身体の発育と共に自然に減ってゆき、5~6歳頃までにほぼ消失します。したがって5~6歳頃をすぎても引き続きみられる場合に夜尿症と定義されています。

夜尿症のタイプ

1)夜間多尿型、2)排尿機能未熟型、3)混合型に大きく分類されます。

夜間多尿型

夜間尿量が多いため朝まで持たずに漏らしてしまう病態で、抗利尿ホルモンの分泌不足、習慣性多飲、塩分過剰摂取、ストレスなどが複合的に関与されています。おねしょの量が多い場合はこのタイプが多いようです。

排尿未熟型

膀胱におしっこを貯める能力が十分に発達していなかったり、我慢する能力が不十分な場合に生じます。昼間からおしっこを漏らしたり、おしっこが近かったりしている子はこのタイプに当てはまります。

混合型

以上の2つのタイプが両方ある場合です。

排尿日誌

夜尿症のタイプを診断する上で重要なのが排尿日誌です。どういうものかと言いますと、排尿回数、排尿量、夜尿の回数と量、最大我慢尿量、飲水量などを記録する日誌です。この日誌をつけることにより夜尿症のタイプの診断に役に立つだけでなく、治療の経過を見てゆく上でとても参考になります。

重症度

排尿日誌からの情報と尿検査の結果などから、夜尿症の重症度を判定します。年齢が低く夜尿の量、回数が少なければ軽症で、その逆に高年齢で夜尿の回数、量が多ければ重症度が上がっていきます。

治療方法

夜間多尿型の場合は夜間の尿量を減らすことが必要ですので、まず水分制限を行います。学校から帰宅後は出来るだけ飲水制限を行い、夕食の内容も水分が少ないものにします。夕食後から寝るまでは飲水は行わずに、風呂上がりに口渇を訴える場合は極少量の冷水または氷をなめるようにします。その代わり朝起床後から午前中にかけてはしっかり水分を補給するようにします。必要であれば内服薬を併用します。
排尿未熟型の場合は膀胱を大きくする目的で治療を行います。内服薬で膀胱の収縮力を少し抑え、おしっこが貯まりやすくするようにします。また同時に出来るだけおしっこを我慢するような膀胱訓練を行います。小学低学年で200ml、高学年で250ml以上貯めることが出来ればいいでしょう。
内服薬には三環系抗うつ剤、抗コリン剤、抗利尿ホルモンなどをよく使用します。三環系抗うつ剤は2週間投与して1週間休薬するなど症状の具合をみながら処方します。抗利尿ホルモンは夜尿症の適応はありませんが、夜間多尿が強い場合に一時的に使用します。抗コリン剤は膀胱容量を増やす目的で使用します。

注意事項

尿失禁の治療に際しては、守らなければ行けない3つの原則があります。
それは「おこらない」「おこさない」

停留精巣

精巣が陰嚢下部まで下降してない状態をいいます。胎生期には腹腔内にありますが、成長とともに陰嚢内へ下降してきて、生下時には正常の位置に達します。
それが様々な位置で下降が止まった結果、停留精巣が生じます。

症状

生下時や生後の定期検診の際、陰嚢内に精巣が触れないことで指摘されることが多いようです。放置しておくと造精力が低下してきて、将来不妊症の原因になります。
さらに成人まで放置しておくと、癌になる危険が高くなります。

診断

触診で精巣の位置がある程度は確認されますが、そけい管や腹腔内にある場合は触診で見つけることは困難です。その場合エコーや腹腔鏡検査が必要になることもあります。

治療方法・予後

自然下降は困難ですので、手術(精巣固定術)を行います。以前はある程度の成長を待って行っていましたが、精巣の成長が悪い場合が多かったので、最近は手術可能の時期になり次第、手術を行うことが一般です。

小児の陰嚢(精索)水腫

精巣と精索の周囲を取り囲んでいる、陰嚢内鞘膜に体液が貯留した状態です。
腹腔から出て陰嚢内鞘膜と通じている鞘状突起が、生後も閉鎖しないでいるために、その通路を伝って体液が陰嚢内鞘膜腔に貯留して腫脹します。

症状

生下時や生後の定期検診の時に、陰嚢が大きいことで見つかることが多いです。
痛みなどの自覚症状は全くありません。陰嚢水腫を放置しておくと、精子を作る働きが低下してきて、将来不妊症の原因になることがありますので、治療が必要です。

検査

エコーで液体が貯留してることが確認されれば診断されます。そけいヘルニア(脱腸)との鑑別が必要です。

治療方法・予後

症状突起が閉鎖している場合もありますので、まずは1~2回針で穿刺して内容液を除きます。
その後再発するようであれば、症状突起の開存が考えられますので、手術が必要です。

尿失禁・オムツがとれない

子どもの排尿障害では、昼間のおもらし、おしっこが我慢できない、少量の尿漏れなどが主な症状であり、放置すると尿路感染を繰り返す可能性があり、腎障害にもつながりかねないため注意が必要です。
先天的な脊髄の病気である二分脊椎や、先天的に尿道の形態が狭い後部尿道弁という病気など、膀胱や尿道の神経・形態・機能に問題があって排尿障害が起こっている可能性も考えられるため、排尿障害があったら専門的な診察を受けることをおすすめします。
なお、夜間のおねしょに関しては、他の排尿障害の症状がない限り治療の必要がない場合がほとんどです。

尿道下裂

ペニスに起こる先天的な形態異常です。尿の出口が先端ではなく手前に空いてしまいますが、出口の場所は鬼頭部手前のくびれ周辺から、ペニスの付け根、陰嚢まであります。

神経因性膀胱

膀胱には尿を溜めて漏らさない機能と、排尿の際に勢いよく出す仕組みが備わっていますが、それに問題が起こっています。症状では、尿漏れや排尿困難などがあり、腎臓の障害にもつながるため、できるだけ早く専門医の診断を受けてください。

移動性精巣

精巣の存在が陰嚢内でわかる時とわからない時がある状態で、遊走睾丸とも呼ばれています。精巣には精管や血管以外に筋肉がついており、この筋肉が収縮すると精巣が鼠径部にある鼠径管内に上昇します。緊張や刺激によって上がってしまうため、リラックスした状態で確かめる必要があります。就寝時や入浴時に左右同じ大きさの精巣が陰嚢に存在していれば問題ありません。陰嚢底部まで降りてこない停留精巣の場合は治療を検討します。

膀胱尿管逆流症

膀胱に溜まった尿が尿路を逆流してしまうことで起こる病気です。逆流した尿が尿管、腎臓に上ってしまうため腎臓の感染リスクがあり、膀胱の圧力が加わることで腎盂炎や水腎症を起こし、腎機能低下をもたらす可能性があります。できるだけ早く専門医を受診してください。

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